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経済教育シンポジウム「経済教育と法教育の対話 その2:労働問題」 [Report]

経済教育シンポジウム「経済教育と法教育の対話 その2:労働問題」

シンポジウム「経済教育と法教育の対話 その2:労働問題」
日時:2013年3月23日(土)13:00-17:00
会場:同志社大学 寒梅館 地下A会議室
趣旨:「前回の経済教育ネットワーク年次大会では、法教育と経済教育のこれまでの取り組むを振り返りながら、今後の本格的実践の方向を考えるための取り組みがなされました。今年度はそれをもとに、高校教科書で扱われている労働問題をテーマに子供たちに何を伝えるべきか、どのように実践教育をするかをさらに掘り下げて取り上げます」

しだれ桜が満開の京都で開催されたシンポジウムの会場、同志社大学寒梅館
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篠原総一同志社大学教授による開会挨拶と中川雅之日本大学教授による冒頭のプレゼンとまとめ
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講演:教科書「現代社会」における労働問題のとらえ方
「経済学からみた労働問題のとらえ方」対「法教育からみた労働問題のとらえ方」
安藤至大日本大学大学院総合科学研究科准教授と野川忍明治大学大学院教授
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パネリストによる「実践から」のコメント
吉田英文生野高等学校教諭と関本祐希大阪府立交野支援学校四條畷校教諭
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パネルディスカッション:「『労働問題』によって子供たちに伝えたいこと」
コーディネーター:中川雅之教授
パネリスト:関本祐希教諭、吉田英文教諭、安藤至大准教授、野川忍教授
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会場の参加者からパネリストへの質問とコメント
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中川雅之教授によるディスカッション総括と西村理同志社大学教授の閉会挨拶
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レポート
 経済教育ネットワークが追及している経済教育と法教育をいかに総合的に生徒たちに教えるかという問題について、今回は「労働問題」を中心課題にすえて経済学と法学の両方からの見方を取り上げ、その共通点と相違点を浮き彫りにする試みであった。
 その相違点を強調する意味で、普段からウェブ上で論争を続けている安藤至大准教授と野川忍教授がそれぞれの持論を展開したのは、大変興味深いものであった。特に、前者の経済学的な見方を取る立場では、労働問題は、理論的には他の市場の持つ問題と同様に分析できるとするのに対して、後者の法学的な見方を取る立場では、労働問題は、労働市場の持つ本質的な特殊性(例えば、労働サービスと労働者とが分離できないこと)から起こるものであり、そのために他の市場にはない最低賃金や労働組合といった制度が存在し正当化できるとする。
 取り仕切り役の中川雅之教授はこの極端に異なるそれぞれの立場を尊重しつつ、何とか経済教育と法教育を統合して生徒たちに教える枠組みを提案する一方で、重要な結論として、現在の高校の教科書での労働問題の扱いは多くの法律や制度が恣意的に列挙されているだけで、その背景にある体系や考え方が説明されていないことが問題であると指摘した。
 これに対して、現場での実践の立場から、吉田英文教諭は、教科書はあくまで必要最小限の事実や事柄の説明にとどめざるをえず、その背景にある考え方などは、教師が生徒の興味やニーズに合わせて工夫して教えるのが適切ではないかという考え方を表明した。一方、関本祐希教諭は、基本的な考え方を生徒に教えるメリットを認め、その立場から法教育と経済教育の両方をできるだけ統合して教える具体的なプログラムの例を示した。
 その後のパネルディスカッションでは、それ以上の議論の深まりはなかったものの、単なる暗記だけを奨励するような教科書の内容を少なくとも側面から補完して、基本的な考え方をどう教えたらいいかを示す教材やマニュアルなどを経済教育ネットワークが中心となって作成すべきという中川教授の提案には、すべての参加者が賛成したようにみえた。これまでの2つのシンポジウムを踏まえて、次の第3弾がより実り多いものになることが期待される。
(宮尾尊弘筑波大学名誉教授)
参考
経済教育ネットワーク2011年度年次大会@同志社大学
シンポジウム「経済教育と法教育の対話」:
http://miyao-blog.blog.so-net.ne.jp/2011-12-04
経済教育ネットワークHP:
http://www.econ-edu.net/
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