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日本人学生の課題と解決策:JUNBAメンバー聞き取り調査結果と提言 [報告]

日本人学生に関する課題と解決策:JUNBAメンバー聞き取り調査結果と提言

宮尾尊弘(筑波大学名誉教授)

聞き取りの時期:2016年10月18日~10月20日
対象:JUNBA(サンフランシスコ・ベイエリア大学連携ネットワーク)メンバー:
http://www.junba.org/

聞き取りを行ったJUNBAメンバー大学関係のオフィス(訪問順):
10月18日(火):
1. 日本学術振興会サンフランシスコ研究連絡センター
2. 龍谷大学バークレーセンターRUBeC
3. 早稲田大学サンフランシスコオフィスki
4. 大阪大学北米センター
10月20日(木):
5. 九州大学カリフォルニアオフィス
6. 福岡工業大学カリフォルニア事務所

聞き取りの際の質問事項:
「日本からそちらに研修に来る学生たちが持つ一番の問題点は何でしょうか」
英語力なのか、論理的思考力なのか、意欲の問題なのか、文化的な違いなのか、学問的な準備の問題なのでしょうか。

質問への答:
「日本人学生が持つ一番の問題は、学生が自分の考えを表現し、発言や発表ができないこと」

理由と背景:
この問題がいつまでも解決されない理由は、以下の2つに大別される:
1) 文化(心理)的な理由(発言を奨励する文化と抑制する文化の差が大きい)
2) 表現上(英語)の理由(発言・発表の仕方が特に英語では分からない)

以上の2点にそれぞれ答える提言・マニュアルは以下の通り。
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1: 文化(心理)的な問題の解決策:提言
文化(心理)的な理由(発言を奨励する文化と抑制する文化の差が大きい)
背景:
日本人学生たちの自己評価が低く、自分に自信が持てない。そのために他者やその場の自分への評価を気にしすぎ、「場違い」な発言をしないよう抑制してしまう。
(他方、米国人の学生たちは自己評価が高く、自信をもってどんな場でも発言する)
課題:
この逆の方向性をもつ2つの文化差をどう乗り越えて、学生たちが進んで発言するような心理状態にどう持っていくか

文化(心理)的な問題克服への提言:
A) 個人レベルの対策:
1: 日米では発言や発表についての文化(評価)差があることをよく分からせる。
2: 参加した活動について自分を評価する点と反省する点を客観的に書かせる。
3: 自分の発言を録音させて、それを聞いて自ら良かった点と反省点を分らせる。

B) 仲間・友人レベルの対策:
1: 仲間や友人どうしでお互いの長所や良い点などを話し合うように奨励する。
2: 「他己紹介」などによって、自らが客観的にどう見られているかを知らせる。
3: 米国人の友人を作らせて、発言・発表の態度や方法の違いを分からせる。

C) 大学レベルの対策:
1: 大学や教員や職員がすべて自分たちに自信と誇りをもち(特に縦のランキングでなく、横の特長
や独自性について)、常に学生たちに伝えるようにする。
2: 大学レベルで発言・発表などによる参加態度を評価するシステムを作る。
3: 海外で学生たちの心理状態をモニターして、必要ならばカウンセリングを行う。
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2: 英語表現上の問題の解決策:マニュアル
表現上(英語)の理由(発言・発表の仕方が特に英語では分からない)

マニュアル:日本人学生のための手引き案

I . 質問のしかた:「どのように質問したらいいでしょうか」

Ia. 段階1:一番簡単にできる質問
例:「その・・・・・についてもう少し説明していただけますか」
“Could you please explain a little more about…….?”
(このような相手により詳しい説明を求める”clarifying questions”は、アメリカでは相手が発言や発表をしている最中でも許される)

Ib. 段階2:次に簡単でよくなされる質問
例:「そちらのお話に関連して、….についてはどうお考えですか」
“In relation to what you said, what do you think about……”
(できるだけ相手の話に関連があって皆が興味を持つ問題に触れるのがよい)

Ic. 段階3:ある程度準備が必要だが「実のある」質問
例:「そちらの主張に対して、…..という反対意見がありますがどう思われますか」
“What do you think of a counter-argument to your opinion like……?” or
“What do you think about an argument contrary to what you said like…”
(相手の主張や意見は何か、そしてその反対意見は何かを前もって調べる必要)
→ ディベートで意見を戦わせる際にも必要な準備。

II. 「質問」する際に注意しましょう

IIa. 注意点1:「準備」が大切
最初から質問しようと心の準備をしておき、相手の話で上の質問をからませる内容・結論をよく理解すること(表現方法は上記に従い、内容に集中して理解と質問する)

IIb. 注意点2:「見栄え」が大切
人に先がけてさっと手を上げ、指名されたら立って姿勢をよくして、大きな声を出す。
(恐る恐る小さな声で「すみませんが・・・」(sorryとかexcuse me)ということは禁物、

IIc. 注意点3:「形式」(礼儀・プロトコール)が大切
まず自分の名前と所属を言い、相手に敬意を払う「おせじ」を言ってから質問する。
最初に:「今日はすばらしいお話をありがとうございました。大変勉強になりました」
“Thank you very much for your great presentation today. I learned a lot.”

III. 発表のしかた:「どのように発表したらいいでしょうか」

IIIa. 準備1:発表の「ポイント(結論)」を最初に明確にする
例:「私は・・・・についてお話します。主な結論は・・・・です。」
“I would like to talk about……and my main point (conclusion) is…...”
(発表は重要なことから先に言い、結論を出す過程を順番に説明するのでない。そうすれば数分の短い発表でも、1時間の長い発表でも、重要な結論から言えばすむ。)

IIIb. 準備2:自分の発表内容の「独自性」を強調する
例:「私の議論(分析)は・・・・です。一方これまでの議論(分析)は・・・・です。」
“My argument (analysis) is…, while the existing argument (analysis) is..”
(自分の発表内容がこれまでの意見・分析と違う点を指摘して、その後で説明する)

IIIc. 準備3:自分の「主観的」な意見・解釈と「客観的」な事実・分析を分ける
例:「私の意見が他の人と異なるのは客観的なデータの解釈が異なるからです。」
“My opinion is different from others, as my interpretation of the existing data is different.”
(客観的データの収集や分析で他者との違いを出すのは難しいが、解釈の違いで独自な結論を導くことは比較的容易。ただしなぜそのように解釈するかの説明が重要)

IV. 「発表」する際に注意しましょう

IVa. 注意点1:「コミュニケーション」が大切
発表は参加者との「コミュニケーション」と心得て、配布資料やパワーポイントなどは必要最小限の使用と内容にして、文章を読むのでなく、皆の顔を見て話しかける。
(これまで世界一と称賛されたパワーポイントの内容はたった「単語一つ」!)

IVb. 注意点2:「パフォーマンス」が大切
発表は1対1の対話ではなく、1対大勢の「公式」の場なので、舞台の上でのパフォーマンスと心得て、正しい姿勢で大きな声でジェスチャーなどを加えて演技をする。
(「質問」の注意点IIb「見栄えが大切」と同じ、日本人はこの意識が薄いので注意)

IVc. 注意点3:「プロトコール」(形式・礼儀)が大切
最初に主催者や紹介者にお礼を言い、最後には参加者全員に謝意を表すること。
最初の謝辞:「・・・様(先生)、ご親切なお招き(ご紹介)ありがとうございました」
“Thank you very much, Mr (Prof)…, for your kind invitation (introduction)”
(以上)
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